INTERVIEW
苦悩の中で見つけた道と、心から誇れる自信
高校時代はどんな学生でしたか?
高校時代は、クラスでも女子サッカー部でも楽しい仲間に囲まれていました。でも高校時代を一言で表すとしたら「悩」という言葉につきますね。このことは言語聴覚士を目指したきっかけにも繋がるので、詳しくお話ししたいと思います。私は小さい頃から自分の性に対して違和感を持っていたのですが、本格的に悩み始めたのは高校の頃からでした。具体的には、女友達といても男友達といても同性といる感覚が全くしなくなって、自分が何者なのか分からなくなりました。そのことを隠しながらみんなと接していたので、着ぐるみを着て人と接している感覚があり、相手との距離感やどう接したらいいのかですごく悩んでいました。そのため「みんなといるけど一人」という感じがありましたね。でも周りの友人に恵まれていたので本当に救われました。
言語聴覚士を目指したきっかけ・理由はなんですか?
今お話ししたように、高校の頃は自分のことや相手との関わりでとても悩んでいました。3年生の時も自分のことで頭がいっぱいで、進路のことを考えるだけで憂鬱な気持ちになりました。同時に、自分はなんで目に見えないものに対してこんなに悩んでいるんだろうと思うようになりました。ちょうどその時期に、「理学療法士になりたい」と親友に言われたことがきっかけで、その子を通じてリハビリという分野があることや、その中の言語聴覚士という職業を知りました。知った時の衝撃は大きく、何より「コミュニケーション」に関わる専門家である、というところに強く惹かれました。今私が悩んでいることも、目に見えない心の部分や相手とのコミュニケーションの部分だ。この職業に就くことができたら絶対に成長できるのではないか、と思い目の前が明るくなったのを覚えています。まさに希望が見えた感じでした。なので私は自分のために言語聴覚士を目指しました。
言語聴覚士としてのやりがいと大切にしていること
現在私は、地域の中の児童デイサービスで働いています。保護者の困りごとや保育園・幼稚園で課題となっていることを受けて、保護者と一緒に言語面や、体の不器用さなど運動面に対する支援を行なっています。言葉は出ないけど身振りや目線など体でたくさんお話ししている子、オウム返しがほとんどだけど少しずつ自分の言葉が出てきている子、など子供たち一人一人によって「言葉を育てる」ための支援が異なり、どうやったらもっと言葉を引き出せるだろうか、と日々考えています。初めは、机上での言語訓練だけが言語聴覚士の仕事だと思っていました。コクーンのキャッチフレーズが、”からだをうごかすとココロがうごきだす”なのですが、「言葉」だけの訓練を行うのではなく遊びを通して体を動かす中で、少しずつその子と目があうようになったり、笑い声が増えたり、他の子とのやりとりが生まれると、体を動かすと心が動き出す、そして心が動くとその気持ちを伝えたくて言葉に繋がるんだということを実感し、私も日々心を動かされています。そして、ここでの活動が学校や地域といった集団の中でのその子の生活に繋がっていると思うと、とてもこの仕事にやりがいを感じます。
よし!今日はこの課題をさせよう!と思ってその子に言語課題を「やらせる」場合、子どもはすぐに「あ、この人は自分に苦手なことをやらせようとしている」と察知し、その時点で子どもと上下の関係になり信頼関係が崩れてしまいます。一方、よし!今日はこの課題を一緒にやってみよう!とその子の課題に「一緒に取り組む」場合は上下の関係がなく、私も横に並んで一緒に取り組むよ〜という気持ちが子供に伝わり、その信頼関係がある中だとお互いにリラックスしてその場の空気が和んだり、良い反応が増えたり、一緒に考え楽しみながら取り組むことができます。そして何より、その子が本来持っている力を観察することができるため、この「横に並んで一緒に取り組む」という姿勢を大切にしています。またそのためには、まずその子の興味のあるものに自分も興味を持つ、その子の好きな遊びを一緒に楽しみ展開させていく、やってみたいなと思わせるような活動を考え仕掛けていく、ということも大切だと実感しています。言語聴覚士として大切なことというよりは、人として子どもとしっかり向き合うことを大切にしていきたいです。
よし!今日はこの課題をさせよう!と思ってその子に言語課題を「やらせる」場合、子どもはすぐに「あ、この人は自分に苦手なことをやらせようとしている」と察知し、その時点で子どもと上下の関係になり信頼関係が崩れてしまいます。一方、よし!今日はこの課題を一緒にやってみよう!とその子の課題に「一緒に取り組む」場合は上下の関係がなく、私も横に並んで一緒に取り組むよ〜という気持ちが子供に伝わり、その信頼関係がある中だとお互いにリラックスしてその場の空気が和んだり、良い反応が増えたり、一緒に考え楽しみながら取り組むことができます。そして何より、その子が本来持っている力を観察することができるため、この「横に並んで一緒に取り組む」という姿勢を大切にしています。またそのためには、まずその子の興味のあるものに自分も興味を持つ、その子の好きな遊びを一緒に楽しみ展開させていく、やってみたいなと思わせるような活動を考え仕掛けていく、ということも大切だと実感しています。言語聴覚士として大切なことというよりは、人として子どもとしっかり向き合うことを大切にしていきたいです。
この学院を選んで良かったこと・今のお仕事に役立っていることは?
沖リハは厳しいよ、とか忙しくて大変だよ、などと聞いていると思います。確かに言語聴覚士になるために勉強づくしの3年間になるので、忙しい、大変ではありましたが、それを乗り越えることのできた仲間に出会えたことが私は本当に嬉しいです。一人では絶対乗り越えられませんでしたし、周りと支え合うことの大切さも学ぶことができました。そしてそれは私が悩んでいた課題でもあったので、自分と向き合い、葛藤し、その結果自分自身が成長することができたから乗り越えることができたんだと大きな自信になり、今に繋がっています。学院生活の3年間で学んだことは、言語聴覚士になるために必要な知識だけでなく、人と支え合うことの大切さであったり社会での常識であったりとたくさんあります。本当に濃い学院生活を送ることができ、そこでついた自信はこれからも支えになっていくと思います。
これから言語聴覚士を目指す方へ
Yukino Kyan
喜屋武 幸乃
こども支援ルーム コクーン 言語聴覚士
2013 言語聴覚学科 卒業
言語聴覚士になろうと決めた高校生の頃の私に対して、今の自分だったらどんな応援メッセージを送るか考えてみたのですが、「よく決心した!今こんなに自分のことでも対人関係でも悩んでいるのに、よく言語聴覚士を選んだね!おかげでこれからたくさん頼もしい仲間に出会えるし、自分と向き合うきっかけもたくさん起こる。今子どもたちと一緒に自分も少しずつ成長している気がする!決心してありがとう!」って言いたいです。これから言語聴覚士を目指す方へメッセージとして伝えたいことは、私の場合は子どもが好きで、仕事を通してより子どもと関わることが好きになりました。言語聴覚士の働く分野は子どもからお年寄りまでと幅広いところも魅力の一つだと思います。きっかけはなんであれ、言語聴覚士という職業に少しでも興味を持った方がいたらすごく嬉しいですし、今後地域で働く仲間が増えたらいいなあ、と考えるととてもわくわくします。言語聴覚士を目指すみなさん、わくわくしながら待っていますね。